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CMS開発会社から見るWordPressのメリットとデメリット

こんにちは。株式会社グローバルゲート制作部のモーリーです。 
気が付けば9月ということで、ほんのりと秋の気配を感じる日が少しずつ増えてきたように思います。
季節の変わり目ということで、コロナウイルスだけでなく風邪やインフルエンザなど体調不良にはご注意ください。

さて、お客様のWebサイトのリニューアルや当社が開発しているWebChangerの導入を行う際に、現在のWebサイトがWordPressを使っているということがよくあります。同様に、他の制作会社からWordPressを使う提案を受け取ったというお話もよく聞きます。 
 
そこで今回はWordPressとは何なのか、どんなメリットとデメリットがあるのかについてCMS開発会社である当社の視点からご紹介したいと思います。 

Webサイトの制作を制作会社に依頼した場合、WordPressの導入を勧められることが多いでしょう。 
もしかしたらこのブログを読んでいただいている方の中には、既にWordPressを利用してWebサイトの運営を行っている方もおられるかもしれません。 
 
当社が開発しているWebChangerはCMS(Contents Management System)と呼ばれ、Webサイトの運営や管理を行うためのソフトウェアです。 
このCMSというジャンルのソフトウェアの中にWordPressがあり、個人のブログから企業の公式サイトまで、多くのWebサイト運営に使用されています。 

WordPressはCMSとしては世界一のシェアを誇り、「世界中のWebサイトの4割以上がWordPressを使用して運営されている」という統計もあります。 

WordPressの歴史 

まずはじめに、WordPressがどのように生まれ、現在の地位を獲得したかについてご紹介します。 
 
 
もともとはブログ専用のCMSとして2003年頃にリリースされ、ブログのための機能を強化しながら開発が進められました。 

しかしWordPressの利用者が工夫を凝らしてコーポレートサイトやポータルサイト、ショッピングサイトなどで利用するようになったため、どんなWebサイトでも運営できるように機能が拡張されていきました。 

ブログ以外での利用の場合は開発者やユーザーが使い方を工夫しながら運用していたため、今思えば制作者もWebサイト運営者も苦労をした無理のある運用だったと思います。 

転機となったのは2004年頃、同様のブログ用CMSとして最大シェアだったMovable Typeがライセンス体系を変更したことでユーザー離れが起き、機能を充実させてきたWordPressがCMSとしての最大シェアを獲得しました。 

2022年の現代では若干のシェア低下傾向が見られるものの、依然としてCMSのデファクトスタンダードとなっています。 

WordPressの利点 

世界最大シェアを獲得しているということは、多くの開発者やユーザーに選ばれる理由があるということです。
まずはWordPressの強みが何なのかについて見ていきましょう。 

無料で使える 

WordPressのライセンスはGPLというもので、これは 

トラブルが発生しても開発者は責任を負わない

ソースコードを公開する 

複製・改変・再配布・販売等は自由 

再配布するライセンスもGPLとする 

というもので、ソフトウェアライセンスの中でも一番緩く自由なものです。WordPressはこのGPLというライセンスで提供することに強くこだわりを持っていて、開発元はテーマやプラグインを有償で提供するような事業者に否定的な態度を取ることもあります。 
 
Web制作会社はCMS導入の際にいわば「仕入れ」のようなコストが発生せず、Webサイト運営者はCMSのライセンス料を必要とせず制作会社への作業料のみの発生となるため、コストの面では双方にメリットがあります。 

開発者の多さ 

WordPressはソースコードが公開されているため、オープンソースソフトウェアと呼ばれます。 
 
オープンソースソフトウェアの開発はソースコードの修正や改良を世界中の開発者から受け付け、その修正を反映することで進んでいきます。 
プログラム本体の開発だけでなく、不具合や脆弱性の報告、多言語化のための翻訳など、ソフトウェアのリリースに必要な作業を世界中の技術者が進めていくことでスピード感やユーザーのニーズを反映した開発が可能となります。 

また、WordPressはプラグインという仕組みで機能を拡張することができます。 
プラグインはWordPressにちょっとした機能を追加するものから、インストールするだけでショッピングサイトやポータルサイト、不動産検索サイトなどに変貌させてしまうような、Webサイトの特性をがらりと変えてしまうような大掛かりなものもあります。 
 
そのプラグインを開発し公開する技術者も世界中にいますので、多種多様な機能を付加することが可能です。

2022年8月の時点で6万件近いプラグインが公開されているという…プラグインにはダウンロード数や点数式の評価があるものの、目的のプラグインを探すのも大変です。

情報の多さ 

シェアが世界最大ということは開発者が多いだけではなく、Webサイト管理者も世界で一番多いということになります。 
多くのユーザーがいることで、使い方やトラブル発生時の解決法などの役立つ情報も多数公開されています。
 
たとえばYoutubeで「WordPress」と検索してみると、基本的な使い方から不労所得を稼ぐ方法まで(うさんくさい情報にはご注意ください)、多くの解説動画が見つかります。分からないことはググれば出てくる、というのは心強いことでしょう。 

WordPressの欠点 

と、ここまでWordPressの強みや利点を紹介しましたが、WordPressに欠点や導入した際のデメリットがないわけではありません。 

続いて、WordPressの欠点をご紹介します。

脆弱性の多さ 

ソースコードが公開されていることとシェアの高さが仇となり、WordPressは悪意のあるハッカーに狙われやすいCMSとしても有名です。 
WordPressを乗っ取れるような脆弱性を見つけた場合は世界の4割のWebサイトを手にしたということと同じですから、犯罪者にとってはやりがいのある仕事となるでしょう。なぜその技術をいいことに使わないのか 
 
多くの開発者がいるなら脆弱性も素早く修正されるのでは?と思われるでしょうが、WordPress本体の脆弱性は素早く修正されたとしても、プラグインはそうとは限りません。 
多くのWordPressサイトで使われている人気のプラグインに脆弱性が見つかり、ニュースになるほどの問題となったことも一度や二度ではありません。 
 
プラグインについての脆弱性対応はその開発者のモラルと余暇(ほとんどのプラグインは技術者が無償で公開しています)にかかっています。 

事実、JVN(IPAが運営する脆弱性情報のポータルサイト)で2021年1月から12月に報告されたWordPress関連の脆弱性は469件に上がります。

操作感の悪さと難しさ 

WordPressはもともとブログ専用のCMSとして開発され、そこから発展して多種多様なWebサイトに対応できるように進化したという経緯があります。 
そして今となっては20年の歴史を持つ老舗のCMSとなりました。 
 
歴史の長さは信頼につながることもありますが、エンジニアの間では「技術的負債」という言葉があります。 
これは長く開発が続いたソフトウェアに生じる、昔に書かれたプログラムが今のバージョンにはそぐわなかったり適切な処理ではなかったりする負の遺産のことです。 
 
WordPressも古いバージョンとの互換性を維持するためにデータベースの構成(正確にはフィールドの内容)は複雑になり、管理画面のインターフェイスは新旧の機能が入り混じっているため統一感がありません。複雑なデータベースは表示速度の重さの原因となり、統一感のなさは使い勝手の悪さや覚えづらさにつながります。

技術者の間では「旧バージョンの互換性を捨てて0から開発し直したほうがいいのでは」という声が上がることもあります。 

2018年頃に実装されたブロックエディタはページの構築を飛躍的に簡単で分かりやすくするはずだったのですが、このブロックエディタを無効にして利用しているユーザーも大勢いるという現実が…。

なお、文字や画像など各要素を「ブロック」とみなし、そのブロックを組み合わせてページを構成するというコンセプト自体は間違っていないと思います。WordPressを使いこなすためにできればPHP、最低でもHTMLの知識が必要だった時代からの脱却を目指した「挑戦」とも言えます。

それはまるで王位戦第4局の封じ手、豊島九段の△8六銀のような…と書こうとしましたが将棋をご存知ない方には通じないのでやめておきます。

制作者のスキル差 

WordPressをWeb制作業者から見た場合、CMSそのものにコストがかからないというのは確かに魅力的です。 
Web制作を依頼するクライアント側の立場でもトータルの出費を下げることができますし、制作会社から見れば利益を上積みできることになります。 
 
だからこそ多くの制作会社が導入を勧めるわけですが、WordPressの制作に関わる人が「WordPressの導入ができます」と言った場合、次のような解釈ができます。 

1.WordPressのインストールができる 

2.公開されているテーマをダウンロードして適用し、文章や画像を入力することができる 

3.オリジナルのテーマを作成することができる 

4.オリジナルのプラグインを開発することができる 

5.私はWordPressの開発に関わっている 

∞.私はマット・マレンウェッグ(WordPressの開発者)だ 

自社オリジナルのWebサイトを制作してほしい場合は3以上のスキルが必要で、複雑な検索機能やショッピング、会員制サイトなどの機能を求める場合は4以上のスキルが必要です。しかし制作会社がどの程度のスキルなのかは実際に依頼してみないと分かりません。
優秀な技術者と巡り会えるまで制作会社ガチャを繰り返すのはさすがに現実的ではないでしょう。
 
2のスキルしかない方が「WordPressはお任せください!」と胸を張り、5のような方が「WordPressのことはさっぱり分からない」と自嘲する、というのはこの業界あるあるです。 

重い 

WordPressは重い(ページの表示までに時間がかかる)ことで有名です。 
管理画面での操作が重いのはまだ我慢できるとしても、閲覧時の表示に時間がかかるというのは大きな問題です。閲覧者の離脱や検索順位の下落など実害が発生します。 

あまりの重さにGoogleが「WordPressを軽量化できる人」を募集するということもありました。

WordPressの高速化はそれだけで1冊の本が出版されるぐらいの大きなテーマです。
また、高速化を目的として各ページを静的出力とする(プログラムが動的に生成するページをHTMLとして生成する)プラグインもありますが、知識なく使うと一部の機能が動かなくなったり最悪情報漏えいにもつながります。

ちなみに手っ取り早く安全に高速化を実現する方法は「高額ではあるものの高性能なサーバーを使う」ことです。

まとめ

ということで、今回はCMS開発会社の立場から見たWordPressのメリット・デメリットをご紹介しました。 
Webサイト制作を制作会社に依頼する場合、高い割合でWordPressの導入もあわせて提案されると思います。 
「シェアが高いから」「みんな使ってるから」という理由で勧められるままにWordPressを選択するのではなく、メリットとデメリットをきちんと考慮することが大切です。 

最後に 

当社のWebChangerはWordPressよりも操作がしやすいCMSとして評価をいただいており、現在WordPressをお使いの事業主様からご相談をいただくことも多くあります。

WordPressよりも使いやすい操作感を動画で紹介していますのでぜひご覧ください。

WordPressを使っているけどややこしくて疲れた、WordPressの導入を勧められたけど他のCMSも検討したい、ということがありましたらぜひご相談ください。

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