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実は不可能?SDカードの物理フォーマットが行えないワケとは

こんにちは!株式会社グローバルゲートでサーバ管理をしているタカです。

今回は、ミラーレスカメラを使っている最中に、突然SDカードに写真データが記録できなくなり、カメラ内でのフォーマットも不可能になったトラブルに遭遇しました。そこで、原因を調べる中で分かったことをお話ししたいと思います。

SDカードを使っていると、突然「フォーマットしてください」というエラーメッセージが表示された経験はありませんか? そんなとき、多くの人が「物理フォーマット(低レベルフォーマット)をすれば完全に初期化できるのでは?」と考えるかもしれません。しかし、実はSDカードにおいて「物理フォーマット」を行うことはユーザーには不可能です。 

「物理フォーマット」とは、HDD時代に行われていた「低レベルフォーマット」のように、ストレージのセクタやブロックを物理的に初期化する処理を指します。しかし、SDカードのようなフラッシュメモリは、内部に専用のコントローラを備えており、データの管理方法がHDDとは根本的に異なります。
そのため、一般的なフォーマット操作では物理的なメモリブロックに直接アクセスすることはできず、ユーザーが行えるのは「論理フォーマット」に限られます。 

本記事では、なぜSDカードに物理フォーマットが存在しないのか、その理由を詳しく解説していきますのでSDカードの仕組みを理解し、適切なフォーマット方法を知ることで、より安全にデータを管理しましょう。

SDカード内部のコントローラがメモリ管理を行っている

SDカードは単なるデータ保存媒体ではなく、その内部には「コントローラ」と呼ばれる制御チップが搭載されています。このコントローラは、データの管理や最適化を自動的に行う重要な役割を担っており、HDDのように物理フォーマット(低レベルフォーマット)を実行することができない大きな要因となっています。 

では、このコントローラが具体的にどのような処理を行っているのか、そしてなぜSDカードでは物理フォーマットができないのかを詳しく見ていきましょう。

ウェアレベリングによるデータ管理

フラッシュメモリは、HDDの磁気ディスクとは異なり、特定のメモリセルに対して書き込みを繰り返すと徐々に劣化していく特性を持っています。そのため、SDカードのコントローラは「ウェアレベリング」と呼ばれる技術を使い、データの書き込み場所を均等に分散させることで特定の領域の劣化を防ぎます。
 
ウェアレベリングの仕組みにより、ユーザーが意識せずともデータは適切に管理されますが、その一方で「物理的に連続した領域に直接データを書き込む」という操作ができなくなり、ユーザーが「特定のセクタを物理フォーマットする」と考えていても実際にはそのセクタがどこにあるのかをコントローラが決めるため、ユーザーが直接指定することは不可能なのです。

不良ブロック管理とデータ保全

フラッシュメモリには、製造時点や使用中に発生する「不良ブロック」が存在します。不良ブロックとは、正しくデータの読み書きができないメモリ領域のことを指しますが、SDカードのコントローラはこれを自動的に検出し、正常な予備ブロックに置き換える「不良ブロック管理」を行います。 

この機能により、ユーザーがデータを保存する際に、障害のあるブロックが使われないように処理されます。しかし、この管理機能の影響で、ユーザーが物理フォーマットを試みたとしても、実際にそのデータがどの物理領域に書き込まれるかを制御することができないので、HDDのように特定のトラックやセクタを直接フォーマットすることができないのが理由です。

SDカードのフォーマットは「論理フォーマット」のみ

一般的に、SDカードのフォーマットといえば、ファイルシステム(FAT32、exFATなど)を初期化する「論理フォーマット」のことを指します。これは、OS上でのデータ管理構造をリセットする作業であり、物理的なメモリ構造には直接関与しません。 

一方、HDDの低レベルフォーマットでは、セクタやトラックを物理的に初期化する作業が含まれます。しかし、SDカードはコントローラによってデータ管理が行われているため、物理フォーマットを実行する手段が提供されていません。

仮に物理フォーマットを試みたとしても、コントローラが裏でメモリ領域を管理するため、ユーザーが期待するような結果にはなりません。

「ゼロ埋め」や「フル書き込み」は物理フォーマットではない

SDカードに不具合が発生したとき、「フルフォーマット」や「ゼロ埋め」を試す人は多いでしょう。特に、MacやWindowsのフォーマット機能を使うと、全てのデータを上書きし、まっさらな状態に戻せるように見えます。しかし、これらの操作はあくまで「論理フォーマット」に過ぎず、「物理フォーマット(低レベルフォーマット)」とは全く異なります。 

フルフォーマットやゼロ埋めを行っても、SDカード内部の物理的なメモリ構造が初期化されるわけではありません。なぜなら、SDカードのデータ管理は内部の「コントローラ」によって制御されており、ユーザーが直接メモリのブロックやセクタにアクセスすることはできないからです。本記事では、ゼロ埋めやフルフォーマットの仕組みと、それが物理フォーマットではない理由をもう少し深堀していきましょう。

ゼロ埋めとは?データ消去の仕組み

ゼロ埋め(Zero Fill)とは、ストレージの全セクタに「0」を書き込むことでデータを完全に消去する手法です。WindowsやMacの「フルフォーマット」を選択すると、この処理が実行されることがあります。ゼロ埋めを行うことで、以前のデータが上書きされ、通常の方法では復元できなくなります。 

しかし、SDカードのようなフラッシュメモリでは、ゼロ埋めをしても物理的なメモリ領域に直接影響を与えるわけではありません。なぜなら、SDカードのコントローラは「ウェアレベリング」や「不良ブロック管理」を行いながらデータの書き込み先を決定しているため、ユーザーが指定したアドレスにそのまま書き込まれることはないのです。

フルフォーマットとクイックフォーマットの違い

フォーマットには「フルフォーマット」と「クイックフォーマット」の2種類があります。

1. クイックフォーマット 
 ・ファイルシステムの管理領域を初期化するだけ 
 ・実際のデータは上書きされずに残る(データ復元ソフトで復旧可能) 
 
2. フルフォーマット 
 ・セクタ全体にゼロデータを書き込む(またはランダムデータを埋める) 
 ・以前のデータを完全に削除し、復旧が困難になる 
 ・SDカードでは「論理アドレス」上のデータを削除するだけ

フルフォーマットは、HDDやSSDでは効果的なデータ消去手段ですが、SDカードでは「物理フォーマット」ではなく、あくまで論理フォーマットに過ぎません。

なぜゼロ埋めしても物理フォーマットにならないのか?

ゼロ埋めが物理フォーマットにならない最大の理由は、SDカード内部のコントローラが書き込み先を自動的に管理しているからです。 

1. ウェアレベリングによる影響 
SDカードのフラッシュメモリは、同じメモリセルに頻繁にデータを書き込むと劣化しやすい特性があります。そのため、コントローラは「ウェアレベリング」と呼ばれる技術を用い、書き込みが均等に分散されるように管理します。 

つまり、ユーザーが「全てのセクタをゼロ埋めした」と思っていても、実際には物理的に連続したメモリブロックに書き込まれるわけではなく、コントローラによって異なる場所に分散されているのです。 

2. 不良ブロック管理 
フラッシュメモリには、不良ブロック(故障したメモリ領域)が存在します。SDカードのコントローラはこれを自動的に検出し、使用しないように管理します。 

ゼロ埋めを行っても、不良ブロックにデータが書き込まれることはなく、別の予備ブロックが代わりに使用されるため、ユーザーが直接メモリを物理的に制御することはできません。

本当の物理フォーマットは可能なのか?

SDカードにおける本当の「物理フォーマット(低レベルフォーマット)」は、一般ユーザーが行うことはできません。これは、メーカーが工場出荷時に専用のツールを使って行う処理であり、市販のフォーマットツールでは再現できません。 

ただし、一部のSDカードメーカーが提供する専用フォーマットツールを使用すれば、通常のフォーマットよりも低レベルに近い処理を行うことができますが、これも物理フォーマットではなくファイルシステムのリフレッシュに過ぎません。

まとめ

1. SDカードのコントローラがデータの書き込み先を管理しているため、ユーザーが直接制御できない 。

2. ウェアレベリングによって書き込みが分散されるため、全セクタをゼロで埋めたとしても、物理的に連続したデータ配置にはならない 。

3. 不良ブロック管理の影響で、ゼロ埋めしても物理的なブロック構造が変わるわけではない 。

4. 本当の物理フォーマット(低レベルフォーマット)は、メーカーの専用ツールでしか実行できない 。

SDカードを適切に管理するためには、これらの仕組みを理解し、単純なゼロ埋めやフルフォーマットが物理フォーマットではないことを認識することが重要です。

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